初心者を初ラウンドに連れて行く側の完全ガイド|スコアより「また来たい」と思わせる迎え方

初心者を初ラウンドに連れて行く側の完全ガイド。ゴルフ歴22年・約280ラウンドの52歳が、コース選び・事前に伝える服装や持ち物・当日の声かけと教えすぎない技術まで解説。22年前、上司に連れて行かれた側だった実体験から「また来たい」と思わせる迎え方を書きました。

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22年前、私は「連れて行かれた側」でした。30歳のとき、上司の「営業ならゴルフやれ!」の一言で、ルールもよく分からないまま初ラウンドへ。あの日、自分が何打打ったのか覚えていません。正確に言うと、数えてもいませんでした。覚えているのは、ずっと小走りだったことと、迷惑をかけている申し訳なさだけです。

あれから22年、約280ラウンド。ベストスコアは76まで来ました。そして今度は、後輩や同僚や家族を初ラウンドに「連れて行く側」になっています。この記事では、初心者をデビューさせる側がやるべき準備を、コース選び・事前に伝えること・当日のフォローの順にまとめます。先に結論を言います。目指すのは初心者のいいスコアではありません。帰り道に「また来たい」と言ってもらうこと。この日のゴールはそれ一つだけです。

ゴールは「また来たい」の一言だけ

初ラウンドの成否を分けるのは、スコアではありません。150打っても「楽しかった」と笑って帰る人はいます。逆に、110で回れたのに二度とコースに来ない人もいます。違いを作るのは本人の才能ではなく、迎える側の段取りです。

私のコンペに初参加してくれた仲間を思い返すと、その後も続いている人には共通点があります。初回に「うまく打てた」人ではなく、「居心地がよかった」人です。うまく打てるかどうかは、こちらにはコントロールできません。でも居心地は、連れて行く側が仕組みで作れます。私の持論は「気合より仕組み」でして、これは初心者を迎えるときにこそ効きます。

私自身、デビュー戦で先輩たちが終始笑っていてくれなければ、22年も続けていなかったはずです。あなたの段取り一つで、その人のゴルフ人生が始まるか終わるかが決まります。ちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが、本気でそう思っています。

コース選び|短め・空いている・余裕のある予約

コース選びの基準は3つです。名門かどうか、景色がいいかどうかは、この日は関係ありません。

1つ目は、距離が短くフラットなコースを選ぶことです。レギュラーティーで6,000ヤード台前半、できればアップダウンの少ないコースがいい。難コースに連れて行くのは、正直なところ連れて行く側の見栄です。初心者にとっては、林越えの名物ホールより「前が開けていて振りやすいホール」のほうがずっとありがたい。

2つ目は、空いている日と時間帯を選ぶことです。初心者にとって最大のプレッシャーは、難しいホールではなく「後ろの組に追われること」です。混み合う土曜の朝イチは避けて、予約サイトで空き枠の多い日を選びます。平日休みが取れるなら平日が理想です。

3つ目は、時間に余裕のある予約にすることです。詰め込みのスループレーより、昼休憩ありのほうが初心者は息をつけます。予算が許すならキャディ付きも検討する価値があります。クラブ運びと球の行方をプロが見てくれるだけで、連れて行く側の負担が半分になるからです。セルフで行くなら、乗用カートがフェアウェイまで乗り入れできるコースを選ぶと、初心者の移動がぐっと楽になります。予約の細かいコツはゴルフ場予約のコツにまとめてあるので、そちらを見てください。この記事で覚えてほしいのは「安い枠より、空いている枠」という優先順位だけです。

事前に伝えること|服装・持ち物・用語は3つだけ

初心者は「何が分からないかが分からない」状態です。だから、聞かれる前にこちらから全部伝えます。私は次の表をそのままLINEで送っています。

項目伝えること・用意するもの一言メモ
行き帰りの服装襟付きシャツ、ジャケットが無難コースの規定を先に確認
プレー中の服装襟付きシャツと帽子、ジーンズ不可動きやすければ十分
シューズレンタルの有無とサイズを確認買わせない
クラブレンタルか自分の予備を貸す買わせない
ボール12個をこちらで用意ロストボールで十分
グローブ本人サイズで1枚だけ購入2,000円あれば買える
現金昼食と売店用に5,000円ほど精算の流れも説明する
集合時間スタートの60分前迎えに行けるなら迎えに行く

ポイントは「買わせない」を徹底することです。続くかどうか分からない段階で道具を買わせると、それ自体がやめる理由になります。ゴルフはお金がかかると思われがちですが、工夫の余地は大きい。私の節約術はサラリーマンのゴルフ費用節約術に書いたとおりで、初心者にはまず「お金をかけない入口」を用意してあげてください。

用語の予習は3つだけでいいです。「ファー」(人のいる方向に球が飛んだら叫ぶ)、「OB」(コースの外に出たら罰打がつく)、「パー」(そのホールの基準打数)。この3つ以外は当日その場で教えれば間に合います。ハンディキャップの仕組みを熱心に説明したくなりますが、こらえてください。あれは続いた人があとでハンディキャップの基礎を読めばいい話です。

もう一つだけ、できれば事前に練習場へ一緒に行ってください。目的は上達ではなく「ボールに当たる感覚」を一度持たせることです。空振りの恐怖が消えるだけで、当日の緊張が半分になります。練習場での回り方は練習場の効率的な使い方が参考になるはずです。ちなみに連れて行く側の自分の準備はラウンド当日の準備チェックリストで済ませておきましょう。当日は自分のことに構う余裕がなくなりますから。

当日のフォロー|ティーの前後で言うこと・言わないこと

当日いちばん神経を使うのは、ティーグラウンドの前後です。ここでの一言が、その人の一日の気分を決めます。

打つ前に言うことは2つだけです。「前に誰もいないから、どこに飛んでも大丈夫」と「空振りしてもカウントの練習だと思えばいい」。安全の確認と、失敗の許可。この2つがあれば初心者は振れます。

打った後は、結果ではなく事実を拾って声をかけます。チョロでも「前に進んだからOK」、大きく曲がっても「当たった音はよかった」。嘘の褒め言葉はすぐ見抜かれるので、本当のことの中からいい部分を探すのがコツです。逆に「惜しい!」の連発は、本人に「期待に応えられていない」と感じさせるので控えめにしています。

言わないことも決めておきます。打つ直前の技術指導、これが最悪です。「頭を残して」「脇を締めて」と直前に言われて、良くなった初心者を私は見たことがありません。ミスの原因解説も同じです。本人が「今のなんで曲がったんですか」と聞いてきたときだけ、一つだけ答える。この線引きを守るだけで、ティーグラウンドの空気がまるで変わります。

進行の心配は、本人にさせず全部こちらで背負います。球の行方を一緒に見ておく、次のクラブを2〜3本持って移動させる、大叩きのホールは「もう数えなくていいよ」と打ち切らせる。速く回る技術はスロープレーを防ぐ習慣に書きましたが、初ラウンドでは「初心者の分まで自分が段取りする」が正解です。マナーも全部は教えません。人に球を当てない安全と、グリーンで人のラインを踏まない。当日はこの2つだけ守らせて、細かい作法はゴルフマナーの基本をあとで共有すれば十分です。

教えすぎない勇気|助言は1日2つまで

連れて行く側にとって、実は最大の敵は自分の「教えたい欲」です。22年分の知識があると、目の前のミスの原因が全部見えてしまう。でも、初ラウンドの人が受け取れる助言は、1日にせいぜい2つです。3つ目からは雑音になり、10個目には苦痛になります。

思い出してほしいのですが、私たちも最初はひどいものでした。私は100を切るまでに何年もかかりましたし、その道のりは100切りまでの私の話に書いたとおり回り道だらけです。「もっと早くやればよかった」と思うことも山ほどありますが、それは始めた頃の自分に伝えたい3つのこととして本人が興味を持ってから読めばいい話で、初ラウンドの当日に浴びせることではありません。

私が自分に課しているルールは単純です。聞かれるまで教えない。聞かれたら一つだけ答える。教えたくなったら、代わりに褒める場所を探す。気合で我慢するのではなく、ルールで自分を縛る。ここでも「気合より仕組み」です。

昼食と休憩|スコアの話をしない時間を作る

昼食は、初心者にとって唯一心から休める時間です。ここで午前のミスを振り返る反省会を始めてはいけません。私は昼食の話題を「ゴルフ以外」と決めています。仕事の話でも家族の話でも何でもいい。午前中ずっと緊張していた人に、普通の時間を返してあげるのが目的です。

一つだけゴルフの話をするなら、「午前で一番よかった一打」を本人に選ばせてください。どんなに叩いた人でも、一打くらいは会心の当たりがあるものです。それを口に出して言語化すると、午後への気持ちが軽くなりますし、その一打が「また来たい」の種になります。

帰り道が本番|デビュー戦の記憶を上書きする

実は、初ラウンドの印象は帰り道で確定します。風呂上がりと帰りの車で何を話すかが、プレー内容と同じくらい重要です。

やることは3つです。まず、ミスの総括をしない。本人が反省を口にしても「初めてであれだけ当たれば十分」と受け流します。次に、その日のベストシーンを具体的に一つ挙げて渡す。「7番のあのアプローチは本当にうまかった」のように、ホールと場面を特定して言うと、記憶がその場面で上書きされます。最後に、次の約束は軽く。「涼しくなったらまた行こう」くらいの温度がちょうどいいです。日付まで詰めると、義理になってしまいます。

そしてもう一つ。帰り道に自分のスコアの話をしないでください。連れて行った側の76も82も、その日は何の意味も持ちません。22年前、私を連れて行ってくれた上司が自分のスコアを一度も口にしなかったことに、私は最近になって気づきました。

初ラウンドの成功は、スコアカードには残りません。帰りの車で「また行きたいです」と言ってもらえたら、その日のあなたがベストスコアです。

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