「今日は85を目指す」。ラウンド前日、何度この言葉を口にしただろうか。
しかし、この目標設定には根本的な問題がある。「85」という数字がラウンド中にまったく機能しないのだ。3番ホールで7打を叩いたとき、「85」という目標は何の指針にもならない。
276ラウンドを経て気づいたのは、機能する目標は数字ではなく「行動の基準」でなければならないということだ。
「85を目指す」が機能しない理由
85打という目標を立てたとする。内訳を計算すると、18ホールで85打=平均4.7打/ホール。パー72のコースならボギーが13個でパーが5個。これを言い換えれば「13ボギー5パー」が目標になる。
では、5番ホールで8打(+4)を叩いたとき何が起きるか。残り13ホールで「12ボギー5パー」以上の内容が必要になる。数字の計算に追われ、「取り返し思考」が始まる。これがメンタル崩壊の入口だ。
ボギーペースを基準にした設計
私が実践している目標設定は「全ホールボギーを基準にした計画」だ。
| ホールタイプ | 基準スコア | 許容崩れ | 叩いた場合の次ホール目標 |
|---|---|---|---|
| Par3 | 4打(ボギー) | 5打(+2)まで | 次はボギーに戻す |
| Par4 | 5打(ボギー) | 6打(+2)まで | 次はボギーに戻す |
| Par5 | 6打(ボギー) | 7打(+2)まで | 次はボギーに戻す |
全ホールボギーなら90打。これを「上限ライン」として設定し、バーディーやパーは「ボーナス」と位置づける。1ホールで+3以上叩いても「次のホールでボギーに戻す」という行動目標に切り替える。
この思考がうまく機能したのが2026年4月13日の小見川東急GC(84打・パット28)だ。前半OUT38打(+2)という好調な出足だったが、後半16番Par5で9打(+4)という大叩きが出た。それでも最終スコア84打にまとめられたのは、「16番の失点はリセット・17番はボギーを取り戻す」という切り替えができたからだ。
ハーフ別目標の設定
18ホールを一度に考えるより、9ホールを2つに分けて考えるほうが目標が明確になる。
前半9ホールの目標:45打以内(ボギーペース+1程度) 後半9ホールの目標:43打以内(ボギーペース±0)
前半を「ウォームアップ」と割り切り、後半に良いスコアを目指すという構造だ。
実際のデータを見ると:
| 年 | 前半平均 | 後半平均 | 傾向 |
|---|---|---|---|
| 2022年 | 45.8打 | 46.2打 | 前後半ほぼ同等 |
| 2023年 | 44.6打 | 45.4打 | 後半微増 |
| 2024年 | 44.9打 | 46.8打 | 後半に崩れる |
| 2025年 | 43.8打 | 44.5打 | 安定化 |
| 2026年 | 43.2打 | 43.8打 | 改善傾向 |
2025〜2026年にかけて後半スコアが安定してきた。ハーフ別に目標を立て、前半終了後にリセットする習慣が定着したからだと分析している。
具体的な「行動目標」の立て方
数字目標より行動目標のほうが、プレー中に参照しやすい。
目標例(悪い):「今日は85打を目指す」
目標例(良い):
- ドライバーはフェアウェイキープ優先(3番ウッドも積極的に使う)
- グリーン周りはパター・チップ優先(ウェッジは最後の手段)
- 1ホールで+3以上叩いたら即リセットし、次はボギーを取ることだけを考える
- パットは「カップから60cm以内」を目標にする(入れようとしない)
この4つの行動目標を持ってラウンドすると、「85打」という数字目標より遥かに具体的な判断が生まれる。
2023年5月5日の芳賀CC(83打・パット30)はこの考え方が機能したラウンドだ。後半東39打(+3)という今季ベスト級の内容は、「各ホールをボギー基準で考える」を徹底した結果だった。
締めの一言:「今日は80台」という目標はラウンド中に機能しない。「全ホールボギーを基準に、+3以上叩いたら即リセット」という行動目標こそが、スコアを安定させる。