2023年5月と2024年3月、2度にわたってタイ・バンコク近郊のゴルフコースを回った。合計6ラウンド。スコアは86〜100打とばらつきがあったが、それ以上に「ゴルフそのものに対する見方」が変わる経験だった。
帰国後に日本のコースでラウンドしたとき、「あ、これ日本の当たり前だ」と気づいたことが何度もあった。普段は気づかないが、異文化のゴルフを経験することで初めて見えてくるものがある。
タイのキャディ文化は「日本の常識」を覆す
日本では、キャディさんはコースによってはいないことも多く、セルフプレーが標準になっている。いても「サービス」というより「進行係」に近い役割だと感じることが多い。
タイは違った。バンコク近郊のコースでは、キャディが付くことが前提。料金体系にキャディフィーが含まれており、1人に1人付く形式のところもあった。彼女たちは英語も使えるし、距離・風・グリーンの傾斜を積極的にアドバイスしてくれる。「距離だけ教えてくれればいい」という日本的なスタンスではなく、「プレーを一緒に作る」感覚だ。
バリーシアゴルフリンクスでは、キャディの言う通りのクラブを選んだら、「なるほど、こういう判断か」と納得する場面が何度もあった。逆に私がキャディのアドバイスを無視して打ったホールは、ほぼすべて失敗した。22年のキャリアがあっても、知らないコースでは「コースを熟知したキャディ」の方が正確な判断ができる。これは素直に認めるべき事実だ。
コース設計が「難易度の意図」を持っている
日本のコースも当然難しいが、タイのコースは「トリック」的な難しさが多かった。グリーンの形状が複雑で、奥につけると3パットが普通になる。バンカーの配置が「フェアウェイの良い位置」に置かれていて、狙い通りに打てばバンカーに入る、という設計が散見される。
| コース名 | タイプ | スコア | 特徴 |
|---|---|---|---|
| BALLYSHEAR GOLF LINKS | リンクスコース | 86(Par71) | 風とバンカーが戦略の核 |
| フローラヴィル GC | リゾートコース | 100 / 86 | 広いが距離が長い |
| サイアムCC バンコク | リゾートコース | 85 | 整備が行き届いた高品質コース |
| タナシティCC | 丘陵リゾート | 89 | 高低差と池が要所 |
| レイクウッドCC | リゾートコース | 87 | フラットで距離重視 |
2024年3月のサイアムCC(#165ラウンド)は85打で後半41打。1番バーディーで始まった最高のラウンドだった。日本とほぼ変わらない自分のゴルフができたと感じた。一方、フローラヴィル初日(#110)は100打。前夜の反省会が長引いて寝不足+アルコール残りの状態だった。条件が整えば85打、条件が崩れれば100打。この振れ幅が私のゴルフの現実だ。
「気温35度のゴルフ」でメンタルのあり方が変わる
5月のタイは暑季。早朝スタートでも7時台から30度を超える。水分補給・日焼け対策・体力配分が、日本以上にシビアに求められる。
日本にいるとき、「暑さのせいでスコアが崩れた」という言い訳をすることがある。でもタイで35度の中を18ホール回って「暑いのは条件として受け入れて、その中でどう戦略を組むか」を考えるようになった。帰国後の夏ラウンドで、暑さへの免疫が少し上がったと感じた。
また、タイでは「周囲の目が気にならない」という解放感もあった。日本では「下手なプレーを見られるのが恥ずかしい」という意識が、無意識にプレッシャーになっていたことに気づいた。海外コースでは知り合いも周囲もいない。純粋にゴルフだけに集中できる環境が、自然とメンタルを楽にしてくれる。
「ゴルフは楽しむもの」という言葉は日本でもよく聞く。でもタイで実際に「完全に楽しめているラウンド」を体験して初めて、日本での自分が少し緊張してプレーしていたことに気づいた。
日本ゴルフの「当たり前」が見えてくる
タイから帰ってきてまず感じたのは、「日本のコースって、進行が速い」ということ。タイでは1ラウンドに5〜6時間かかることが珍しくない。日本の4時間前後のペースは、実は相当に管理されている。
次に気づいたのが、「コース管理の精度」。日本のフェアウェイのきめ細かさ、グリーンの速度の安定感は、海外コースと比べると段違いに高い水準だ。タイのコースも品質は高かったが、グリーンの速度ムラや午後のフェアウェイの乾燥は、日本との違いを感じさせた。
良い面も悪い面も含めて、タイ遠征は「当たり前を疑う」最高の機会だった。
海外ゴルフで学べるのは、技術だけではない。「自分がどんな前提でゴルフをしているか」に気づくこと。それが日本に帰ってからのゴルフを変える。